アニマルウェルフェアの実際
五輪メダリスト達が東京都に対し、大会で使用する食材にアニマルウェルフェアを求める声明を出しました。小池百合子都知事へ宛てた手紙とは・・
こんにちは!
ボーンブロス・八雲の諸江栄美です。
昨夜、函館から帰ってきました。
帯広畜産大学で開催された、日本産肉研究会「アニマルウェルフェア」シンポジウムにて畜産業のプロの方々に、「ボーンブロス・八雲」についてのお話をお聴き頂きました。
今回の講演に際して、アニマルウェルフェアってなんだろう〜?
ウェルフェアって、そもそも何??
という所から、発表準備段階から勉強させてもらいましたが、
今回実際に生産農家さんたちの声を聞く事ができてやっと、本質的なものが見えてきました。
「アニマルウェルフェア」は、「家畜に優しい飼育の仕方をする事」
という理解で間違いないのですが、
すごく簡単に表現しますと、
その、優しいって何よ??
ってところが現在、日本の畜産業界の中で熱く議論されている最中なんです。
アニマルウェルフェアは認証制になっているので、評価基準が設けられています。
《動物ベースでは》
・やせすぎてないかい?
・外傷はないかい?
・しっぽが故意的におられてないかい?
・人に恐怖心を持っていないかい?? などなど
《施設ベースでは》
・暑熱対策は適切ですか?
・断続的な騒音はないか?
・何より清潔か?
・分娩房があるか? などなど
使う器具が動物にとって痛くないか?なども評価項目です
さてさて、先ほどの優しいって何よ?
の話に戻りますが、
「飼育する時にそういった評価項目さえ満たしていれば、動物たちは幸せなんだ」
と捉えて安心して勝手に完結してしまうのは、人間の自己満足なんじゃないか?
というふうに、危惧しておられる生産農家さんも多くおられるのです。
そういった生産農家さん達は、表面上の項目ではなく、もっと根本的な問題を見つめるべきだという事を考えておられます。
究極な話になると、家畜達は言葉を話せませんから、本当の欲求なんて人間には完璧に伝わりません。
そうですが、「アニマルウェルフェア」と言い切るのであれば、その生命がその生命体らしく生きる飼育の仕方をまずされていることが、ベースとしてあるべきなのではないか?
それらをクリアーした上で、初めて認証されるべきものなのではないか?
つまり前提として放牧酪農が行われ、有機の飼料があたえられてるか?ということをまず前提としてある事が必要だという考え。
それに対し、北海道でない本州などの土地の制約がある地域ではそれが困難なので、そこは省くべきだという考え。放牧を必須とした場合、放牧をしたくてもできない農家は対象外になってしまうから、そこは生産方式によって各基準を設けたらいいんじゃないの?という意見ですね。
現状は後者の、放牧をしていなくても認証は取れる基準に制定されています。
たとえば欧州の酪農家が日本に来て、放牧をされていないアニマルウェルフェアの認証を取得している牧場を見た時、彼らはどういった感想をいだくんだろうか?
それを想像すると、まだまだ「アニマルウェルフェア」に関する世界と日本の意識の差って大きいんだなぁと思います。
そうはいっても、牛舎で飼っていた酪農家がいきなり放牧に変えるのって、ものすごいエネルギーも時間もお金もかかります。
でも、放牧家畜の価値って消費者にとって、いまものすごく価値が高まっています。
同じ牛乳でも、300円くらい高くても、わたしなら放牧の方にお金を投資したいですし。
だって、栄養価も美味しさも圧倒的な差である事を知っていますから。
「オーガニック」「エシカル」「ヘルシー」が尊ばれ、かっこいい時代。
時代はそういった風潮に対し、追い風ですよ。
何かを変えるのは、とても勇気がいる事です。
だから、今放牧酪農を営んでいる方、生産方式を変えた初代の人とか、めちゃくちゃ尊敬しています。
言葉だけが一人歩きをする「アニマルウェルフェア」ではなくて、
真にそれを追い求めてほしい。そう思います。
私も、一緒に考え続ける事をやめません。
「ボーンブロス・八雲」諸江栄美
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